マンションの漏水リスクを減らすには?原因・被害事例と配管更新の必要性

マンションの漏水リスクを減らすには?原因・被害事例と配管更新の必要性

この記事では…

  • マンションの漏水事故が起こる原因と「専有部分の配管」の考え方がわかる!
  • 実際の漏水被害の現場と、復旧にかかった費用の事例がわかる!
  • 漏水リスクを減らす「配管更新」の内容と進め方がわかる!

マンションで起こる下階への「漏水事故」。水の出しっぱなしなどのうっかりミスだけでなく、床下や壁の中など見えないところで配管が劣化して起こることもあります。漏水が起きると、下階や近隣のお宅の天井・壁にシミができたり、大切な家財が濡れてしまったりと、ご自宅以外にも被害が広がります。この記事では、漏水事故の原因と実際の被害事例、そして漏水リスクを減らすための「配管更新」について解説します。

1. 漏水事故はなぜ起こる?

マンションの「専有部分」はどこまで?

マンションは、大きく「専有部分」と「共用部分」に分かれており、ご自身が単独で所有する部分が「専有部分」です(範囲はマンションの管理規約によって異なります)。

  • 専有部分になることが多い場所:住戸の内側(キッチン、お風呂、トイレ、各お部屋など)
  • 共用部分として扱われる場所:バルコニーや共用廊下、玄関扉の一部などは、共用部分として扱われます。玄関扉の錠や内側の塗装など、専有部分となる部位もあるため、管理規約で確認してください。

見落としやすいのが、床下や壁の中など目に見えないところを通る配管です。各住戸だけで使用する給水管・給湯管・排水管などには、専有部分に属するものがあります。ただし、専有部分と共用部分の境界は、配管の種類や設置位置、構造、マンションの管理規約によって異なります。横方向の配管でも共用部分に該当する場合があるため、管理会社・管理組合に確認しましょう。

マンションの専有部分と共用部分の配管の範囲

専有部分に属する配管は、その住戸の区分所有者が管理・修繕するのが原則です。ただし、管理組合による一体的な管理・修繕の取扱いがある場合もあるため、管理規約を確認してください。

古い給湯銅管で起こる「ピンホール」による漏水

漏水の原因の一つに、給湯用の銅管に生じるピンホール(針で突いたような小さな穴)があります。銅管は、水質や使用条件、施工状態などの影響によって局部的な腐食が進み、小さな穴から漏水する場合があります。

マンションの床下を通る給湯管
ピンホールが開いた銅管の給湯管

給湯管は床下や壁の中を通っているため、ご自身で状態を確認するのは困難です。配管の状態は、材質・使用環境・施工状態などによって異なり、使用年数だけでは判断できません。長期間更新していない場合や、同じマンションで漏水が発生している場合は、更新履歴や配管の状態を確認しましょう。

漏水リスクが高い住まいのチェックポイント

次のような項目に当てはまる場合は、配管の状態を一度確認しておくと安心です。

 
配管バルブ
 

  • 給水・給湯管を長期間更新していない、または更新履歴がわからない
  • 給湯管に「銅管」が使われている(または、わからない)
  • 最近、同じマンション内で漏水事故が起きている
  • 水まわりの設備はリフォーム済みだが、配管は交換していない
銅管かどうかは見ただけではわかりにくい
給湯管は保温材で覆われていたり、床下を通っていたりするため、外から材質を見分けるのは困難です。当てはまる項目がある方は、現地調査で配管の材質・状態を確認することをおすすめします。

2. 漏水事故の被害現場

※掲載している金額は、2021年11月初回公開の記事に掲載された個別事例の復旧費用です。一般的な費用相場や現在の見積額を示すものではなく、被害範囲や工事内容によって費用は異なります。

実際に起きた漏水被害の様子を3つの事例でご紹介します。まずは被害の大きさを早見表でご覧ください。

💧
クローゼット内の漏水
下地まで要確認
壁紙・絨毯に被害
🏠
階下が空室
100万円以上
天井内に水が滞留
🚨
長期間の漏水
1,000万円近く
スケルトン復旧

※金額は過去の個別事例における復旧費用であり、一般的な費用相場ではありません。

→ クローゼット内の事例はこちら / 1,000万円近くかかった事例はこちら / 事例のまとめはこちら

事例1:クローゼットの中で漏水

漏水で壁紙が剥がれたクローゼット内部

上階の給湯管からの漏水により、クローゼットの中が濡れて壁紙(クロス)が剥がれ、その影響で絨毯の一部まで濡れてしまった現場です。

漏水で濡れたクローゼットの床

漏水被害で注意したいのは、表面の濡れた部分だけでは補修が済まない場合があることです。下地や周囲への浸水状況を確認し、乾燥・補修・交換が必要な範囲を判断します。

事例2:階下が空室で気付けなかった

3階のお部屋の給湯管から漏水が起きていたものの、真下の2階が空室だったため、漏水に気付けなかったケースです。

漏水で水が溜まった天井の壁紙

その結果、天井の壁紙(クロス)の中に水が溜まり、いつ水浸しになるかわからない危険な状態になっていました。

漏水で膨らんだ天井
漏水被害を受けた天井の状態

天井裏を確認すると、水が滴っている状態でした。

水が滴る天井裏

階下が空室だったことを考えると、この現場は比較的早く漏水に気付けたほうです。それでも復旧費用は100万円以上かかりました。

漏水被害の復旧工事の様子

事例3:長期にわたり漏水し続けた空室

漏水被害の中でもかなり深刻なケースです。上階の給湯管から水が漏れていましたが、階下が空室だったため長期間気付くことができず、大量の水がお部屋に流れ込んでしまいました。

長期間の漏水で被害を受けた室内

そのため、住戸全体をスケルトン(建物の骨組みだけを残し、内装・設備をすべて作り直すこと)にして復旧することになり、費用は総額1,000万円近くにのぼりました。最初は少しだった漏水が、これほど大きな被害につながることもあるのです。

スケルトン状態にした漏水被害の住戸
スケルトンからの復旧工事の様子

→ 漏水被害の現場を動画で見る

3つの被害事例のまとめ

3つの事例は、いずれも給湯管からの漏水によるものでした。発見が遅れると、被害範囲が広がり、復旧費用が高額になるおそれがあります。

事例 発見の状況 被害・復旧の内容 復旧費用
事例1
クローゼット
記載なし 壁紙の剥がれ・絨毯の一部が濡れる。浸水範囲に応じて周囲や下地の確認・補修が必要 記載なし
事例2
階下が空室
階下が空室で気付けなかった 天井の壁紙の中に水が溜まり、天井裏にも水が滴る状態 100万円以上
事例3
長期間の漏水
階下が空室で長期間気付けなかった 大量の水が室内に流入。スケルトンにして復旧 1,000万円近く

漏水事故は、ご自宅の被害はそれほどでなくても、下階の方に大きな被害を与えてしまうことがあります。だからこそ、起きてから直すだけでなく、起きる前にリスクを減らしておくことが大切です。

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3. 漏水リスクを減らす「配管更新」

配管更新とは?

配管更新とは、既存の配管を新しい配管に交換する工事です。この記事では、主に住戸内の老朽化した給水・給湯管の更新について説明します。

住戸内の給水・給湯管の配管更新

給水・給湯管の更新では、用途や使用条件に適合する架橋ポリエチレン管やポリブテン管などの樹脂管を使用する方法があります。なお、将来の修理・交換のしやすさは、配管ルートや施工方法、継手へのアクセスなどによって異なります。

配管更新ですべての漏水を防げるわけではありません
配管更新は、老朽化した対象配管からの漏水リスクを減らすための対策です。未更新の配管や設備、接続部などを含め、すべての漏水事故を防げるものではありません。

配管更新のみ?リフォームと同時?

配管更新は床や壁の開口を伴う工事のため、配管更新だけの工事も、水まわりリフォームとの同時施工も可能です。リフォームと同時に行うことで、解体・復旧をまとめられる場合があります。

2つの進め方の比較

 
配管・パイプ・ダクト
 

項目 配管更新のみ リフォームと同時
工事期間 更新範囲・配管ルート・内装復旧の内容による リフォームと配管工事の内容による
床・壁の開口 配管ルートに沿って開口し、工事後に復旧 設備の解体に合わせて施工できる場合がある
主なメリット 設備の交換を待たずに、老朽化した対象配管の漏水リスクを低減できる 設備の解体と配管工事をまとめることで、開口・復旧の重複を減らせる場合がある

工期は配管の種類・更新範囲・配管ルート・内装復旧の内容によって異なります。個別の工期は現地調査後にご案内します。また、リフォームと同時に行う場合も、更新できる範囲は建物の構造や工事内容によって異なります。

それぞれに向いている方

配管更新のみ 水まわりの設備はまだ使える状態で、まずは老朽化した配管の漏水リスクを早めに低減しておきたい方
リフォームと同時 浴室・キッチン・洗面・トイレなどの交換を検討中で、設備と配管の工事をまとめて計画したい方

工事前に管理規約と申請手続きを確認

配管更新を計画する際は、専有部分と共用部分の範囲、工事可能な内容、必要な申請・承認手続きを管理会社・管理組合に確認しましょう。専有部分の工事でも、共用部分や他の住戸に影響するおそれがある場合は、事前の申請・承認が必要となることがあります。

リフォーム時に見落としがちな「見えない配管」

トイレ・お風呂・キッチンなど目に見える設備を交換しても、床下や壁の中の配管は再利用されている場合があります。設備を交換していても、古い配管が残っていたことが原因で漏水するケースがあります。

リフォームの見積もりでは「配管の扱い」を必ず確認
設備だけを交換し、床下や壁の中に古い銅管が一部残ったままになっていると、そこから漏水するおそれがあります。リフォームの際は、給湯管・給水管を交換する範囲が見積もりに含まれているかを確認しましょう。また、業者選びでは、マンションの配管更新の施工経験や対応範囲を確認しましょう。

→ 水回りのリフォームはこちら / 給湯器の寿命と交換時期の記事はこちら / マンションの追い焚き設置の記事はこちら

ナカノヤの配管更新の実績

ナカノヤでは、越谷市・さいたま市・墨田区・日本橋エリアを中心に、50マンション・1,400世帯以上の配管更新の実績があります。管工事の国家資格を持つスタッフが在籍しており、配管の状態の確認から、リフォームと組み合わせた工事のご提案まで対応いたします。

「最近マンション内で漏水事故が起きている」「わが家の給湯管が銅管かもしれない」など、お心当たりのある方やご不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

4. よくある質問

Q&Aまとめ

Q漏水事故で下の階に被害を与えてしまったら、保険は使えますか?

A下階に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負う場合は、ご加入の個人賠償責任保険・特約で補償されることがあります。ご自宅の建物や家財の被害は、火災保険の水濡れ補償の対象となる場合があります。ただし、事故の原因や発生状況、補償対象、免責金額などによって取扱いは異なり、長期間の漏水による損害などは対象外となる場合があります。劣化した配管自体の修理・交換費用も通常は別扱いとなるため、事故発生時は保険会社・代理店に確認してください。

Q漏水に気付いたら、まず何をすればいいですか?

Aご自宅の給水・給湯管からの漏水が疑われる場合は、安全に操作できる範囲で住戸の水道の元栓を閉め、管理会社・管理組合に連絡してください。上階や共用配管などからの漏水では、ご自宅の元栓を閉めても止まらない場合があります。必要に応じて上下階のお宅にも状況を伝え、保険の申請に備えて被害の様子を写真で記録し、保険会社・代理店にも連絡しましょう。

Q管理組合が配管工事を予定している場合、専有部分の配管も一緒に交換できますか?

A国土交通省の「マンション標準管理規約」では、共用部分と構造上一体となった専有部分の設備について、共用部分と一体で管理組合が管理できる考え方が示されています。実際に一体で工事するかどうかや費用の負担方法は、マンションごとの管理規約や総会の決議によって異なるため、まずは管理組合にご確認ください。個別にリフォームを予定している方は、工事の時期を合わせられるかもあわせて相談しておくとスムーズです。

Q水漏れの跡がなくても、配管更新をしたほうがいいですか?

Aピンホールによる漏水は前触れなく起こることもあり、床下や壁の中で起きると発見が遅れがちです。給湯管が銅管で長期間更新していない場合や、更新履歴がわからない場合は、目に見える症状がなくても、一度配管の材質と状態を確認しておくと安心です。水まわりのリフォームを予定している場合は、あわせて配管の状態を確認する良い機会です。

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執筆者

 

ナカノヤ

株式会社ナカノヤ Nakanoya Co., Ltd.
創業110年以上の歴史を誇る。
一般住宅のリフォームから設備工事を中心に官公庁の大型施設の新築・リニューアル工事まで手掛ける地元密着企業。
管工事、土木、建築、電気など、さまざまな国家資格取得者が在籍。
越谷・浦和・墨田・日本橋を中心にリフォーム工事は年間2500件以上。

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