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アルブル通信・感動エッセイ 2019年

2019年1月号「「どうせ無理」と思っている君へ」

君は、「自分の現在の値」で、自分の未来をあきらめていませんか?
 「何も強みがないから、何ができるのかわからない」と思っているかもしれません。
 おそらく、受験戦争を経験した人たちは、「自分の偏差値で行けそうなところに行け」という進路指導に従ったことでしょう。
 大学に行った人も、専門学校に行った人も、高校の卒業が近づき、「どうする?」となったとき、「入れそうなところ」に入ったかもしれません。
 大学の何学部にするか、なんの専門学校に行くかを決めるとき、「どれを選んでいいかよくわからないけど、なんとなくよさそう」で、何を勉強するか決めてしまったかもしれません。
 そういう人は、やがて、周囲の「本当にその勉強に興味のある人たち」とのギャップに気がついて、自分に劣等感を持ってしまうかもしれません。
 でも大事なのは、そこは学校だということです。
 学校とは。「知らなかったことを知る場所」です。
 最初から優秀で、何もかも知っている人は、せっかく学校に来ても「知らなかったこと」がなくて学べないのですから、損をしています。
「何にも知らない人」にとってこそ、学校は価値があります。
 そして、知らないことを知ることで、間違いなく脳みそは活性します。
 そして、何も知らないからこそ、常識にとらわれない考え方ができます。
 学校の先生のなかには、なんでも知っている子をほめる人がいますが、僕は不思議です。「教えるのが楽だからじゃないの?先生、手抜きじゃないの?」と思います。
 学校とは、知識と経験を得て、成長するための場所です。
 そのためには、君は何も知らないほうがいい。新しいことを知り、新しいことにチャレンジし、失敗を乗り越え、「もっと前に進もう!」という情熱を増やすことがとても大事です。
 先生には、「すでに知っている」「わかる」「できる」という人を、ダメなやつだと評価しないでほしい。
 君の現在の値なんて、明日にでも変えることができるものです。
 知らなかったから、覚えればいいだけです。
 わからなかったら、調べればいいだけです。
 できなかったら、やればいいだけです。
 どうか、「今」の自分の値で、自分をあきらめないで。
 君はこれから、まだまだ成長できるのだから。
 「何もしらない、何ももたない」というのは、君の最大の強みです。
 たとえば僕が大好きなアニメーターに会いたいと思っても、なかなか会ってもらえないでしょう。でも、僕が15歳の少年だったら、会ってもらえる可能性はずっと高い。
 なぜならば、「何もしらない、何ももたない」という若い感性でしかわからないことがたくさんあり、大人というのはそれを知りたいものだからです。
 また、仮にアニメーターに会えたとして、50歳の僕が「アニメ作りはわからないけど、ただいろいろ聞きたくて」と言ったら、「あなた、何しに来たんです?」と迷惑がられます。
 なぜならば、大人同士の場合は、お互いが持っている知識や情報の交換を求めるからです。
 でも、15歳の僕が質問するならば、話は全然、違います。
 何も知らないから、意外な質問ができる。何も持たないから、クリエイターを刺激するようなことが言える。
それは若さの圧倒的な力です。

 「100点の自分」なんていらない
 あるとき「大学を辞めてロケットが作りたい」と僕らの工場に来た人がいました。
 彼は入っていきなり、もっといいロケットを作るために会社を変え、働きやすい職場を作り、売上も伸ばそうと思っていたようです。
 いくら小さい工場でも、初めてやってきた20歳の若者が、ドラマの主人公みたいな活躍はできません。彼はその事実に直面し、自信をなくして大学に戻っていきました。
 まだ大学生なのに、「100点の自分でなければならない」と思い込んでいたのです。
 僕らは彼の、「何もできない、何もしらない」というところに魅力を感じていました。
 いっぽう彼は「なんでもできる、なんでも知っている」という自分になろうとしていました。
 何もできない、何も知らない状態から、会社で学んでもらいたかったのに、残念でした。
 いつも100点を目指す教育に彼の自信はゆがめられたのだと感じ、かわいそうでした。
 僕は50歳ですが、まだまだできないこと、知らないことがたくさんあります。
 100点には程遠いけれど、それでもいいと思っています。
 なぜならば、「世界のすべてを知り尽くしたら、相当つまんない」と思うからです。
 知らないから知りたいし、できないから、できるようになると嬉しいのです。
 今は昔不可能だったことが、どんどんできるようになっている便利な時代です。
 でも、君はそんなに急がなくていいと、僕は思います。


「どうせ無理」と思っている君へ
植松 努 著
《経理部》山中 智子 選

2019年1月号「「どうせ無理」と思っている君へ」